Gitelman症候群の治療

Blanchard A, Vargas-Poussou R, Vallet M, Caumont-Prim A, Allard J, Desport E, Dubourg L, Monge M, Bergerot D, Baron S, Essig M, Bridoux F, Tack I, Azizi M. Indomethacin, amiloride, or eplerenone for treating hypokalemia in Gitelman syndrome. J Am Soc Nephrol. 2015;26(2):468-75. [Pubmed]

 Gitelman症候群は、Bartter症候群類似の遺伝性疾患であり、低K血症、代謝性アルカローシス、低血圧ないし正常血圧を呈する。遠位曲尿細管に存在し、サイアザイド薬の標的であるNa-Cl共輸送体の遺伝子異常により惹起される。Bartter症候群より軽症であり、通常、成人になってから、発見されることが多い。
Gitelman症候群では、低K血症、低マグネシウム血症の症状を除けば、比較的予後がよいため、K補充、Mg補充を中心とした治療がおこなわれる。しかし、時に、K製剤だけでは十分にK補正が十分にできないときがあり、その場合には、K保持性利尿薬、NSAIDsなどが追加される。しかし、Gitelman症候群はまれな遺伝性疾患であるゆえ、これらの治療に関するエビデンスはなかった。
 2015年JASN誌において、Blanchardらが、Gitelaman症候群に対するインドメサシン、エプレレノン、アミロライドの効果と安全性に関する比較試験をおこなった結果を報告した。
 本試験は、open-label, randomized, crossover 試験であり、30人のGitelman症候群患者に対し、定常的なKおよびMgの補充に加え、インドメサシン徐放薬75mg、エプレレノン150mg、またはアミロライド20mgを6週間追加した場合の有効性と安全性を試験した。ベースラインの血清K値は2.8±0.4mmol/Lであり、インドメサシンによって血清K値は0.38mmo/L上昇、エプレレノンによって0.15mmol/L上昇、アミロライドによって0.19mmol/L上昇した。インドメサシンは有意にeGFRを減少させ、血清レニン濃度を減少させた。エプレレノンとアミロライドは血清アルドステロン濃度を3倍に増加させ、血清レニン濃度をわずかに上昇させたが、eGFRには影響しなかった。8人の患者が投薬を中止した。6人はインドメサシンによる胃腸障害のため、2人の患者はエピレレノンによる低血圧のためであった。結論として、いずれの薬もGitelman症候群患者の血清K濃度を上昇させた。インドメサシンはもっとも有効であったが、胃腸障害とeGFRの低下をもたらした。アミロライドとエプレレノンは同程度であるが、効果は低く、Na欠乏を誘発した。Gitelman症候群の患者を何人か外来治療している私にとっては、本論文は、個人的にも、今年もっとも役に立った論文だった。